2010年12月

2010年12月31日

『海炭市叙景』を読了!!

佐藤泰志氏の『海炭市叙景』を読み終えた。

『海炭市叙景』 佐藤泰志・著 海炭市叙景』 佐藤泰志・著

この本の購入に関する詳しい経緯は

 http://blog.livedoor.jp/will_pwr/archives/51604160.html

に書いておいた。

海炭市というのは佐藤泰志氏の故郷である函館市をモデルにした架空の都市名であるる。
函館市はわたしのお気に入りの街で、二度ほど訪れている。
いま、それを振り返ってみると函館空港を入り口として、北は五稜郭、南は青柳町、谷地頭近辺(目的地は碧血碑)くらい、高いところといえば函館山止まりで、駅前の朝市近辺、十字街のあたりをぶらぶらとまわっている程度の観光者だけれども。

とはいえ、懇意にしている店からは、毎年、カニを注文している程度の思い入れはあるところだ。


そのお気に入りの函館市、いや、海炭市を舞台にした18のものがたりが『海炭市叙景』である。

ごく普通の市民の日常が、ごく普通に、淡々と語られているものがたり。

函館山のロープウェイの待合室ベンチで6時間も兄を待つ妹のはなし、山の上からロープウェイで降りてくるお金が足りなくて、兄だけ歩いて下山し妹はロープウェイで降りてきたのだが、その後、兄に会えないのだ。
二人とも失業した直後の正月にほんの少しの贅沢として函館山にロープウェイで登り、少し奮発してビールを飲んで結果的にお金が足りなくなってしまったのだ。
兄は下山路を間違えて崖の上からすべり落ちてしまったらしい。
事故か、失意の自殺かはっきりしないが、結果的には切ない、かなしいものがたりだ。

首都から故郷に戻ってきた若夫婦や、ガス店の若社長、訳あり(服役を終えた)男で単身赴任しているパチンコ店店員、定年間際の路面電車の運転手、墓地公園のOL、自分の祖母がどのようにして母を育てたのか、そして今、自分が生きているのはその祖母が母を賢明に育てからということを確かめに『春を売るような酒場』に行く22歳の青年、競馬で一発逆転を夢見る男、運動公園内にあるプラネタリウムを操作する仕事をしている市の職員、同じく市の職員として職業安定所で働く男達のはなし、自分の親が持つ別荘で暮らし中々優雅に過ごしている青年など、部分的にゆるく繋がっているところもあるが基本的にはひとつひとつの独立した18個のはなしが語られている。

どのものがたりも味わい深くて好きだが、この中でわたしがとくに好きなのは『週末』というものかだり。
定年間際の路面電車の運転手のはなし。
コカコーラのラッピングがされた路面電車を運転している男だ。

運転している間に見える風景や人物について非常に細かく表現されているはなしで、これだけのことを考えながら運転していたら気が散ってしまい事故を起こしてしまうのではないかとハラハラしながらページをめくった。
この運転がおわったら、今日は娘の出産を見守るために病院に行くことになっている。
はなしは銀座の交差点を過ぎて山が間近に見えるようになったところで終わっている。
無事に仕事がおわることを祈りつつ、わたしは本を閉じた。


−−−−−

詩人の福間健二氏の解説によると、あと2章18個のはなしが追加されて全部で36のはなしとして終わることになっていたとのこと。

また、このタイトルは全て福間氏の詩集の中から採ったことばだという。
そのときの福間氏の感動は想像を絶するものだったろう。




#情報科教員MTの読書記録・・・・2010-12-26から2010-12-31
                        6日で1回読み終えた。



2010年12月30日

年末の大掃除

そろそろ、今年もあと2日である。
たいしたことはしていないが、自宅の大掃除のお手伝いというところ。

少し念入りに風呂掃除したり、照明器具を取り外してホコリを拭き取ったり、かさの部分を水洗いしたり。
自分の部屋も少し片付けなければならないだろう。

後は年末から正月に掛けての『買い出し』に出かけることにした。


2010年12月29日

『森カフェ・Relax』を購入!!

『森カフェ・Relax』というCDを購入した。

『森カフェ・Relax』 佐藤正美 『森カフェ・Relax』 佐藤正美

長野県の戸隠森林植物園というところで録音されたギターの演奏。
佐藤正美さんというギタリストの作品だ。

一緒に録音されたものではないと思うが、森の朝を連想させる鳥の鳴き声、川のせせらぎなどがギターの演奏に重ね合わせてあり、何とも和む作品なのである。

元々は『森と奏でるギター』というタイトルで販売されていたものをタイトルリニューアルしたとのこと。

この一作で、ご機嫌な年末を過ごすことができた。



2010年12月27日

『ノルウェイの森(下)』を読了!!

村上春樹氏の『ノルウェイの森(下)』を読み終えた。

『ノルウェイの森(下)』 村上春樹・著 『ノルウェイの森(下)』 村上春樹・著

とりあえず、記録だけ。

#情報科教員MTの読書記録・・・・不明


2010年12月26日

『ノルウェイの森(上)』を読了!!

村上春樹氏の『ノルウェイの森(上)』を読み終えた。

『ノルウェイの森(上)』 村上春樹・著 『ノルウェイの森(上)』 村上春樹・著

とりあえず記録だけ。

#情報科教員MTの読書記録・・・・不明


2010年12月25日

『小説家の内緒話』を読了!!

『小説家の内緒話』を読み終えた。

LINK

瀬戸内寂聴氏と山田詠美氏の対談集。

4回に分けて

私小説

女と男
場所

という4つのテーマについて、それぞれ1テーマを1回ずつ対談したもの。

当初の単行本のタイトルは『いま聞きたい いま話したい』だったそうだが、文庫化されるときに『小説家の内緒話』というタイトルに改題されたとのこと。
単行本が2002年2月、文庫本が2005年1月25日に刊行されているので、かれこれ6年前(単行本から考えれば9年前)の本ということになる。

ブックオフで見つけて面白そうだったので購入しておいたもの。
まず、目に付いたのは『小説家の内緒話』というタイトル。
単行本当初の『いま聞きたい いま話したい』というタイトルだったら、目にもとまらなかったかも知れない。
装幀やタイトルの重要性、おもしろさを実感した1冊だ。

瀬戸内寂聴さんの笑顔と山田詠美さんの「そうですねぇ」という物憂げな表情の写真とタイトルを見て、ふたりの有名作家はどんな内緒話を繰り広げるのだろうと興味をそそられて手に取ったのだ。

『私小説』というテーマでは、芥川賞と直木賞のはなしが書かれていて、当時は純文学の『芥川賞』、大衆文学・エンターテイメント系の『直木賞』という分類がしっかりしていたこと、そして、瀬戸内寂聴氏の『あふれるもの』という作品が『直木賞』の候補に挙がったときのはにしが書かれていた。

瀬戸内寂聴氏は、武田泰淳氏に「先生、私ね、直木賞、もしくれるっていったら、ことわりたいんですけど」といい、武田泰淳氏は「瀬戸内さん、直木賞なんていらないよ、断りなさい」と返答したことが書かれていて、これほど両者の間には違いがあったと説明されていた。

こんな感じのことはおぼろげに知っていたが、いまと違い当時の小説家達にはこれほどの違いがあったのかということを改めて知るとができた。

山田詠美氏のデビューに関しても、村上龍のデビューから10年後とのことで、基地周辺の男女のことを書いて悪くいわれることは男性作家と女性作家との違いを大きく感じたという書かれているところがあった。
瀬戸内寂聴氏が山田詠美作品を称して「健康的だものね」と書かれていたが、世間の印象は逆という感じがしている。
『僕は勉強ができない』しか読んでいないけれども、そんなことを思い出してみると「そうか、健康的なんだ」など納得をした。

『死』というテーマの対談では、『江藤淳氏の死』のことが印象に残った。

妻の死後、後を追うようにして自らの命を絶った江藤淳氏。
江藤淳氏の『妻と私』という作品を、瀬戸内寂聴氏が読んで、「危ない」と思ったという。

非常にセンチメンタルでいつもの江藤さんの文章ではなかったもの。

と書かれていた。
この本も持っているので、読んでみようかと思う。

『女と男』という章では、瀬戸内寂聴氏が

「わたしはあの世があるとおもっているから、あの世で何もいないで遊んでいる方が楽じゃない。(以下略)」

というところがあって、仏教者だから当然なのだけれども、今を生きている身の一人としては、「あぁ、あの世を信じているんだ」と何だか不思議な気持ちになる。

『場所』という章では、昔住んでいたところを何十年ぶりかで訪れると楽しいというところが印象に残った。
わたしも昔から「100年後、そこまで生きて100年後の自分の生まれ住んでいたところ(東京の町田市なのだが・・・)を訪ねてみたいんだ」と周りに話してきたので、何となく共感ができた。

4つの対談を読み流していって、ふと思ったことなどを書いてみた。

−−−−−

対談は、この本を含めて二つ目だが、瀬戸内寂聴氏の作品は読んだことがない。
この本の中で、その時点での作品数がおよそ300点だと書かれていた。
読み出したら、ちょっと大変だと何だか思った。


#情報科教員MTの読書記録・・・・2010-12-25から2010-12-25
                      1日で1回読み終えた。


2010年12月24日

『情報教育遠隔講座』を更新

授業で使っているWebテキスト『情報教育遠隔講座』を9月くらいから書き換えの準備をしてきた。
全て変更できたわけでもないし、予定しているOffice2010対応が完了したわけではないが、大部分の更新ができたので、アップロードすることにした。

ちょこちょこ修正は日々していたけれども、大がかりなものは今回が初めて。

今回の更新ではXHTMLとCSSを使って書き換えた。、
スクールアグリーメントに入っているので、MS Officeも含めてFrontPageなども常に最新版を使用できるようになっている。
しかし、今まであえて古いバージョンを使ってきた。
FrontPage2002からFrontPage2003になったときも基本的にはそのままFrontPage2002を使ってきたが、FrontPageはFrontPage2003で販売終了。
その 後継ソフトはSharePoint2007になり、操作方法は大きく変わった。
従って、来年からのために、まず、このSharePoint2007の解説を作ることにした。

今回はここまででアップロード。

あとはとりあえずGIMP。
次はOffice2010用の解説シリーズを書き加えていこうと思っている。
年明けから行うことは決まってきた。



2010年12月23日

『僕僕先生』を読了!!

仁木英之氏の『僕僕先生』を読み終えた。

『僕僕先生』 仁木英之・著 『僕僕先生』 仁木英之・著

『新潮文庫の100冊』に収録されている『僕僕先生』。
『あやかし』と『美人仙人』、全く違う設定だけれども何となく似たパターンである『しゃばけ』シリーズと『僕僕先生』。
そのため、畠中恵氏の『しゃばけ』シリーズが大好きなわたしにとっては、勿論、『僕僕先生』も大好きな小説のひとつになることは読む前から分かっていた。

主人公は親の財産で暮らしている青年、王弁(おうべん)。
父の王滔(おうとう)は『県令』という地方の訴訟担当官であったが、現在は定年を迎えて悠々自適の生活をしている身である。
実はその素質は全くないのだが、仙人になることを夢見て趣味として仙道の研究をしている。
その父の依頼で黄土山に住んでいる仙人に貢ぎ物を届けに行く。

お会いした仙人は美人の仙人で、その美しさに王弁は魅了されてしまう。
実際の姿は老人のようなのか、それとも変わった容姿なのか、見た目通りの美人仙人なのかは不明だが、そんなことは最早関係ない。
名前も適当で「そんなものは意味をなさない」といい、「姓は『僕』、名も『僕』」と名乗る。
従って、この美女仙人は『僕僕先生』。
仙人の方は仙人の方で王弁のただならぬ性格というか人間性に感じ入り、気に入ってしまう。

『第狸奴(だいりど)』と呼ばれる家に姿を変えることができる狸や『吉良(きら)』と呼ばれる凄まじい速さで駆け抜けるという馬がはなしを更に魅力的にする。
『吉良』は主人を選ぶ馬で、自分がよしと思った主人のいうことしか聞かない。
はなしもできる馬で、「(わたしは)主を選ぶ」と王弁に語るシーンがあってここが素敵だ。

この美女仙人とニートみたいな王弁とのコンビ。
僕僕先生について旅に出る王弁。
旅の中で、いろいろな変わり者の仙人達が登場するが、これもまた楽しい。

とにかく、楽しいものがたりだった。



#情報科教員MTの読書記録・・・・2010-12-20から2010-12-22
                      3日で1回読み終えた。


2010年12月21日

GIMP 2.6について

来年度から画像処理系の実習にはGIMPを使おうかと思っている。

パソコン教室も6年間使用したので、来年辺り機器の更新時期になる。
希望通りに機器の更新が許可されれば、WindowsはWindows7にならざるを得ない。

流石にWindows XPというわけにもいかないので、これは必須の流れだろう。
そうすると、今使用しているPhotoCREWは対応OS対象外ということになる。
結果的に別のソフトを考えざるを得ない。

それで、今、わたしの中で候補に挙がっているのはGIMPということになっている。

自分では随分前からちょこちょこ使ってはいたのだが、実際の授業で使うとなるとそれなりに準備が必要になる。

職場の自分用のパソコンにもGIMP 2.6をインストールしてしばらく使ってみることにした。
同時に授業用のマニュアルなども作る予定にしている。

ということで、特に問題なく使っていていたのだが、どのタイミングでか不具合が出てきた。
それもかなり致命的な不具合だ。
なんたが上手く保存ができないのだ。

Web上を検索してみると

http://genroubou.blog24.fc2.com/blog-entry-225.html

というページに行き当たった。

どうやら、2.6.9以降にに紛れ込んだバグらしい(XPでは問題ないもののWindows7では発生するとのこと)。

職場にある自分のパソコン(OSはWindows7)のパソコンはことあるごとにアップデートを重ね2.6.10にしてあった。
GIMPオリジナルのファイルで保存する場合には問題ないものの、他のファイル形式で保存すると保存中のままになってしまう。
GIMPそのものはハングアップしていないけれども、結果的にはハングアップしていることと同じような状態みたい。

2.6.11にバージョンアップしてみたけれども、症状は改善していないので結局2.6.8に戻してみた。
これでどうやら、保存に関する不具合は出ないようになった。

2.6.12がでたときに不具合が解消されていれば、再度アップデートしたいと考えている。
こんなこともあるのだなぁと少々驚いている。


2010年12月19日

『海炭市叙景』を購入!!

先日、本屋を歩いていたら『海炭市叙景』という本を発見した。

『海炭市叙景』 佐藤泰志・著 海炭市叙景』 佐藤泰志・著

最近、映画化された作品であるらしい。

『海炭市叙景公式』サイト

「あれ」、『海炭市叙景』って古い本で絶版であり、岡崎武志氏がその著作(後で確認したところ『読書の腕前』という作品)の中で、絶賛していたものではないかなぁ」などと独り言をつぶやきながら、手に取ってみた。
おぼろげな記憶の中では岡崎武志氏絶賛の『海炭市叙景』だったのだが、その本が復刻されて再度出版されたという説明は書いていなかったし、何だか新しい作品のようにも見えたので、その場はそれで立ち去った。

『読書の腕前』 岡崎武志・著 『読書の腕前』 岡崎武志・著

今日、手元の『読書の腕前』をもう一度読み返し、「やはり、これだ」と確信し、再び書店を訪れることにした。
勿論、目当ての本を見つけ出し、即購入。

先日の本屋とは別の書店で、今日の書店では書棚に1冊だけそっと収まっていた。

著者の佐藤泰志氏はいくつかの文学賞候補にあがったものの、残念ながらどの賞も受賞できず、最後は自らの手でその人生を終えた作家だという。
この作品の舞台は海炭市という架空の街だが、モデルは著者の佐藤泰志氏のふるさと・函館(函館駅の近くにある海岸町がそのモデル)とのこと。

わたしの大好きな函館のことなので、何だが興味がそそられる。
いま、仁木英之氏の『僕僕先生』を読んでいるので、終わったら次は、この『海炭市叙景』を読んでみようと思っている。



2010年12月12日

『ミッキーマウスの憂鬱』を読了!!

松岡圭祐氏の『ミッキーマウスの憂鬱』を読み終えた。

『ミッキーマウスの憂鬱』 松岡圭祐・著 『ミッキーマウスの憂鬱』 松岡圭祐・著

千里眼シリーズという作品群が有名な方だという認識はあったが、わたしにとっては未知の作家の方である。
ここ1、2年(2009年版と2010年版)の『新潮文庫の100冊』ずっと紹介されているので、作品名(と作家名)だけは知っていて、「そのうちに読んでみたいなぁ」と思っていた。

今時の若い人というイメージが強い、主人公の後藤大輔。
話し方が妙に馴れ馴れしく、ディズニーランドの派遣社員として働く初日から妙にいろいろなことに首を突っ込みたがるところが気になる青年だ。
わたしの世代の人間だと、その職場に慣れるまでは中々自分の考えを主張する気にはなれない人が多いように思うが、後藤大輔は違う。
頭に浮かんだことは、初日からポンポンと口に出してしまうような青年。
正社員と準社員という区分けがされていて後藤大輔は準社員なので、このことを考えても言動に気を遣わなければならないはずだが、そのイメージはない。

こんな感じの、ちょっと困った青年である後藤大輔を主人公にした3日間のものがたりだ。

ディズニーランドの運営はオリエンタルランドという会社が行っているが、ここでは架空の会社が行っている設定になっている。
しかも、マニュアルとルールでがんじがらめの会社で、ミッキーマウスが危機一髪の最大の事件になっているにも関わらず中々動けない。
そのような中で後藤大輔がルール度外視で行動し、ミッキーマウスを救うものがたり。
3日間を通しての、後藤大輔の不満と成長が語られている。

美装部二課の担当課長の早瀬実、要所要所で後藤大輔を何となく支える桜木由美子。
美装部二課で後藤大輔を直接教育する尾野広幸。
ダンサー希望だが中々採用されず美装部で頑張っているものの失敗が多い藤木恵里。
その恵里に注がれる淡い恋ごころ。
正社員だが若手で研修中の笹塚昭雄くんとの友情。
ミッキーマウス役の久川庸一、門倉浩次との確執と友情。
後藤大輔を軽蔑していた久川庸一が後藤大輔を助けに行くラストシーンが何とも素敵だ。

読み始めてからしばらくの間、後藤大輔に余りよい感情を抱いていなかったわたしだが、このころには久川庸一と同じように後藤大輔を何とかして助けてあげたいと考えているわたしがいた。
読後感は最高に爽快なものがたりであった。

『新潮文庫の100冊』を手引きにして、この本も読み始めたのだが『新潮文庫の100冊』は決して読者を裏切らない。
読後感が爽快で楽しい本や、切ない気分を存分に味わえるような本でいっぱいである。

#情報科教員MTの読書記録・・・・2010-12-12から2010-12-12
                      1日で1回読み終えた。


2010年12月11日

『ジーン・ワルツ』を読了!!

海堂尊氏の『ジーン・ワルツ』を読み終えた。
わたしにとっては『初・海堂尊作品』である。

『ジーン・ワルツ』 海堂尊・著 『ジーン・ワルツ』 海堂尊・著

既に映画化されていて2011年2月にその映画が公開されることになっているので、それまでに読んでおこうかと思った作品である。

 映画『ジーン・ワルツ』公式サイト http://gene-waltz.com/

テーマは『代理出産』。

帝華大学の助教で顕微鏡下体外受精の専門家である産婦人科医・曾根崎理恵。
みずからも人にはいえない『ひとつの負い目』を持っている女性だ。

その上司、清川吾郎准教授。
凄腕の産婦人科医だが、女性に対して少々意地汚いところがある。

さらにその上、つまり、トップに君臨しているのは屋敷教授。
『権威』に楯にして生きているような人で、この中ではたいした男ではない。
しかし、莫大な権力を持っていることには違いない。
この教授に立ち向かうクール・ウィッチ(冷徹な魔女)・曾根崎理恵という構図のものがたり。

曾根崎理恵のアルバイト先、マリアクリニック。
院長の三枝茉莉亜が肺がんで診療ができなくなり、閉院間際のクリニックである。
その一人息子は三枝久広は超困難事例の手術にただ一度失敗したことで訴訟を起こされ収監されることになる。
これはこれで医療界の重要な問題点であるということをここに改めて述べられている。


さて、曾根崎理恵はこのマリアクリニックで最後の5人の妊婦をみることになる。

しかし、ひとりは途中で流産になり、残る4人は青井ユミ(20)と荒木浩子(39)、山咲みどり(55)、甘利みね子(34)の4人。

マリアクリニックのベテラン助産師・妙高みすず。
三枝麻莉亜院長を尊敬し、マリアクリニック一筋の助産師で、結果的には曾根崎理恵・清川吾郎のよき協力者ということになる。

それぞれの妊婦にはそれぞれのものがたりがあるのだが、勿論、この小説のテーマである『代理出産』の女性は山咲みどりである。
その真の母親は誰なのだろうかということが最後に明らかになる。
巧妙に仕組まれた理恵の魔法。

幸せそうなラストシーンが印象的であった。

医療技術が進歩した今、母親が病気などで子宮をなくしてしまった事例などでは、真の父親とは母親からできた受精卵ならば『代理母』という方法を用いることは、関係者総ての人の同意が得られていればいいのではないかとわたしは思っている。
勿論、必要ならばそのための法改正などして整備すればよいのだと思う。
しかし、その逆のパターンはわたしは理解できないと常々考えている。



#情報科教員MTの読書記録・・・・2010-12-10から2010-12-11
                      2日で1回読み終えた。


2010年12月10日

車検完了!!

今日はオフの日。
1日車検に行ってきた。
午前中にディーラーまで納車して、午後6時過ぎに検査完了。
再び、ディーラーまで出かけていってマイカーを受け取る。

今回は、まかせCiaoとかいうパックに入ることにした。
少々割引されていて、定期点検の費用も含まれているサービス。

代車はインサイト。

ハイブリッドカーを初体験できた。
勿論、ハイブリッドカーなので燃費その他で文句なく人気車種であることには違いないのだが、わたしにはいくつか気になるところがあった。

シートの高さがわたしが普段乗っているエアウェイブと比較して低い感じがして違和感があったこと。

そして、バックミラーでリアガラスを確認すると横に5センチくらいバー状の死角があって後ろの状況を確認するのに少々不安が感じられた。
勿論、わたしは代車として少し乗っただけなので慣れていないだけということである。

トヨタのプリウスもリアのデザインはこのクルマと同じ感じなので、わたしにとっては同じように『後方の視認性』は悪いと感じるのだろう。


2010年12月09日

『阿弥陀堂だより』を読了!!

南木佳士氏の『阿弥陀堂だより』を読み終えた。

『阿弥陀堂だより』 南木佳士・著 『阿弥陀堂だより』 南木佳士・著

信州出身の主人公・上田孝夫、売れない小説家の子どもの頃から、今を語った小説だ。
タイトルの一部にもなっている『阿弥陀堂』を有する『六川集落』というところの出身で、幼くして母を亡くし、父も途中で家を出てしまった。
残された上田孝夫は祖母と二人で生きていくしかなかった。
中学卒業を機に東京に出て、学区で一番の進学校である都立高校に通うことになった。
実は音信不通だった父から連絡があり、東京に出てこないかと誘われたからである。
学生運動全盛期で高校においてもその影響があった時期。
この高校でも討論会のようなことが日々行われていて、それから逃れてきた上田孝夫は同じような気持ちで抜け出してきた神谷美智子と意気投合する。

後の自分の妻となる女性である。

上田孝夫は文学部希望、神谷美智子は医学部志望で、それぞれ自分の道を歩むのだが、孝夫は一度小説が賞を取っただけでその後はパッとしない小説家になってしまう。
一方、美智子の方は順調に実績を重ね医者として申し分のない仕事をするようになる。

孝夫の子を身籠もった美智子であるが、その流産から精神的におかしくなってしまい、その治療も兼ねて夫婦共々、六川集落に移り住み、ここでの暮らしぶりが語られている。

村の人達も美智子の事情を知りつつ、無医村に医師がきて医療を行ってくれることを歓迎する。

『阿弥陀堂』とは文字通り阿弥陀如来を祀るお堂で、おうめ婆さんという古老がお守りをしているところである。

六川集落というところは谷中村という村に所属する集落で、時々配られる『谷中村広報』という広報誌にひとつのコラムとして載っていたのが『阿弥陀堂だより』である。

小百合ちゃんと呼ばれている20代の若い女性(石野小百合)が書き上げるコラム。
これが素晴らしくよく、上田孝夫の目にとまる。

小百合ちゃんは、その昔、悪性の腫瘍の手術を受け、その影響で声を失ってしまう。
その腫瘍が再発した疑い。
小百合ちゃんの主治医・中村医師に協力することを表明する美智子。
肺炎を併発し危険な状態の小百合ちゃん。

持てる力を最大限発揮する医師団。

小百合ちゃんのために、阿弥陀堂で念仏を唱え続けるおうめ婆さん。

みんなの協力の甲斐あって、全快する小百合ちゃん。
小百合ちゃんの治療の成功によって、医師としての自信も取り戻した美智子。
孝夫の子を身籠もって、こちらの方でも美智子の自信は取り戻すことになるのだろう。

ラストは上田孝夫・美智子夫妻と小百合ちゃんの三人で阿弥陀堂のおうめ婆さんを訪れ、4人で幸せなひとときを過ごすところで終わっている。

谷中村六川集落のゆったりとした『時の流れ』を感じながら素敵なひとときを過ごすことができた。



『阿弥陀堂だより』 原作・南木佳士(DVD版)

映画監督の小泉堯史氏によって映画化もされた作品である。

単行本が刊行されたのが1995年6月、文庫本化が2002年8月10日。
ブックカバー裏の内容紹介などを読みながら、読んでみたいと思い出したのが3年くらい前だったと思う(購入してから随分経ってしまった)。

恥ずかしながら映画の方はちょっと記憶にないのだが、この本を読んでみて映画の方も観てみてみたいと思った。




#情報科教員MTの読書記録・・・・2010-12-08から2010-12-09
                      2日で1回読み終えた。


2010年12月04日

『温室デイズ』を読了!!

瀬尾まいこ氏の『温室デイズ』を読み終えた。

『温室デイズ』 瀬尾まいこ・著 『温室デイズ』 瀬尾まいこ・著

荒れる公立中学校に通う中森みちる。
正義感の強い中3の女の子だ。

危機的な学校を憂いて、授業が始まるときにクラスで担任の先生に「何とかしないといけないのではないでしょうか」と訴えかける。
これが切っ掛けでいじめの対象になってしまう。
友達の前川優子はそれを見て、最悪の状態を予想する。

優子は騒然としているクラスの状態に耐えかね、相談室に逃げ込み、相談室通いが始まる。
その後、母の薦めでカウンセリングも受けることになるが、何となく違和感を感じている。

一方の中森みちるはクラスからは逃げずに耐え続ける。
わたしは悪くない、おかしいのは回りの環境の方だと確信している。

バシリの斉藤は「自分は積極的、自主的にバシリをしていて、パシリをやらされている訳ではない」という変わった少年。
自らを『スーパーぱしり』といって憚らず、昼食時にはクラス一人一人に声を掛け、パンの注文を受け購買に走る少年だ。
小学校でクラスの状態がおかしくなったときには、この『斉藤くん』がみんなをまとめ上げ、クラスをよい方向に持って行った実績もある。
みちるは斉藤くんの中学での活躍を密かに期待している。

もうひとり、重要な登場人物である『はちゃめちゃな伊佐君』。
家庭環境的にも問題があって、不良少年として、破壊行為やケンカに明け暮れている。
伊佐君は優子に好意を持っているようで、伊佐君に優子は一度告白されたことがある。
あまりにも唐突だったので実は結ばなかった。
この伊佐君に、優子はカウンセリングで自分が体験したことを応用してみようと試み、伊佐君に語りかける努力をする。
学校の『荒れ』のひとつの原因が、この伊佐君なので、伊佐君を静めることができれば、問題の一端は和らぐのではないかという期待を持っている。

スクールサポーターの吉川先生。

ひ弱な感じのスクールサポーターで理科教員を希望してこの中学校に来た人だ。
ところが仕事の内容はスクールサポーターで、荒れた中学校をよくすること。
自分でも自分のタイプの仕事内容ではないとしつつも、みちるの話し相手として応援をしている。

こんな感じの中学校、このようなクラスに一人おかれたみちるは、さぞかしつらい学校生活だったことだろう。

流石に本職の中学校教員でもあり、作家でもある瀬尾さんが書かれている中学校の様子はリアリティがあって、読者である我々にとってもつらすぎる。
瀬尾さんのほんわかとした感じがなく、リアルな中学校の騒然としたところだけがこころに刺さってくる。

その壮絶な学校生活に、少しの光明が見られたのが、卒業間際になっての『卒業生による奉仕作業』。

荒れた中庭の花壇の修復。

段取りを生徒に伝え、仕切り始める斉藤くん。

一通り修復された中庭を守るスクールサポーターの吉川先生。
中庭を破壊しに来る中学2年生が、気持ち悪がる迫真さで生徒に迫る。
手にはナイフを持っているとのこと。
怖じ気づいて瞬に助けを求める2年生たち。

瞬の登場と吉川との対峙。
瞬は吉川のかなう相手ではない。

吉川をかばうために闘うみちる。

まともに掛かったら、みちるも当然かなわない。
奇策は赤煉瓦を自分の額で受けて、注意を自分に向けること。
勿論血だらけで、赤煉瓦は割れるわけもなく残っている。

しかし、みちるの『奇策』は見事に的中して瞬の戦意も消失し、何とか中庭を守ることができた。

それ以来、中庭を訪れる生徒は出ていない。

ラストシーンは、瞬とみちるが一緒に投稿するところである。
卒業式に向かうために、ふたりが寄り添って中学校に向かうところではなしが終わっている。

『温室デイズ』の『温室』とは小学校、中学校や高等学校などの学校のこと。
学校生活は守られた中での『温室』のようなものであるというところから来ていることばらしい。

小説の中のこの中学校は、『温室』のような状態では余りないものの、それでも『温室』であることには変わりない。
そして、その『温室』を少しでもよくしていくためには、本来は誰かに頼ることではなく自分たち自身でよくしていく努力が重要なのだということをいわれているようにわたしは感じた。

中森みちるは決して逃げることなく、自分自身を肯定し中学校3年生の1年間を見事に闘い生き抜いた。
そして、今後も道が開けるいるように見える。
これもひとつの生き方だと思う。

また、この本を読んで田口ランディさんの『できればムカつかずに生きたい』を思い出した。
「いじめにあったら、真っ先にその集団から抜け出せ、逃れろ」ということが、ひとつのエッセイの趣旨だったと記憶している。
なかなかこういう解決策を書かれる人は少ないように思うが、これはこれで的を射ていると強く思う。

あと二つほど対応方法があるのだろうが、こちらはあってはならないことなのでここには列挙しないことにした。

インパクトの強い作品だった思う。




#情報科教員MTの読書記録・・・・2010-12-03から2010-12-04
                      2日で1回読み終えた。


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2010年12月03日

2010年11月に読んだ本たち

will_pwr at 23:59|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2010年12月02日

『木洩れ日に泳ぐ魚』を読了!!

『木洩れ日に泳ぐ魚』を読み終えた。
久しぶりの恩田陸作品である。

『木洩れ日に泳ぐ魚』 恩田陸・著 『木洩れ日に泳ぐ魚』 恩田陸・著

第一印象は不思議な感覚の読後感というイメージ。

その次ぎに思ったことは、たったふたりの登場人物が、それまでふたりで住んでいたアパートを離れ、『別れるとき』の最後の一日を延々と1冊の本にまとめ上げたということに対する驚き。
作家の凄さを感じた。

勿論、回想シーンが随所にあるので、決してそれはたった1日のはなしではないのだけれど、リアルな時が流れている中ではたった1日のこと。

「これは凄い小説だな」と単純に思った。

このふたりは男と女。

恋人同士の別れ話の現場に居合わせているような感じで読み進めていくと、『恩田ワールド』全開の特別な関係のふたりだということが分かってくる。

そして、山に行ったときの回想。

ガイドの男性を雇うのだが、このガイドの男性も訳ありの男性。

このガイドの男性の転落死。

事故か事件かということを考えていくふたり。
警察は事故で処理したものの、ふたりはお互いに事故だとは思っていない。
そして事件なら犯人はお互いに相手だと思っているふたり。

この事件(事故?)だけではなく、もっと昔の幼児の記憶まで遡っていく。
さて、「このふたりの関係はいかに」というところが、最大の魅力だと感じた。

最後の

ついに、太陽がその姿を現したのだ。

という一文が印象に残る。

#情報科教員MTの読書記録・・・・2010-12-01から2010-12-02
                      2日で1回読み終えた。


2010年12月01日

Vine Linux 5.2

Vine Linux 5.2が公開されたとのこと。

今日、何気なく検索した過程で知った。
ここのところ、自宅のLinuxマシンはご無沙汰だったのだが、これを機会にちょっと触ってみようかと思う。


#ちょっとtwitter的な記事だな。
 これなら、twitterに直接書いてねといわれそう。


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MT
杉並区にある文化女子大学附属杉並中学校・高等学校で情報科教員をしていた津久井 大(まさる)と申します。
2019年3月に定年後、1年間雇用延長で働き、2020年4月から完全にリタイアしました。

従って正確には『元・情報科教員MTのBlog』ということになりますが、タイトルはこのままにしてあります。

元々は理科教員で、暫く理科と情報科の兼任をしていましたが、教育制度に則った情報科ができた2003年に情報科のみを教えることになりました。
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