2011年04月

2011年04月30日

『神去なあなあ日常』を読了!!

三浦しをん氏の『神去なあなあ日常』を読み終えた。

『神去なあなあ日常』 三浦しをん・著 『神去なあなあ日常』 三浦しをん・著

奥付を見てみると2009年5月31日に初版が発行されたようだが、当時、書店でこの単行本を見て直ぐにでも購入して読んでみたいと思った本である。
しかし、小説の類は単行本では購入せずに文庫本が出てから購入するという妙なポリシーを立てているわたしは、そのときにも『3年待つ決意』をした。

で、その『神去なあなあ日常』。

木曜日(4月28日)の放課後、学年主任から「中1と他の学年は授業終了時間が違うので(その日は中1のみ6時間授業で他学年は7時間授業)、図書室で中1の様子を見守っていて下さい」という指示を受けた。
「仕事関係(情報科関係)の本でも読みながら、図書室に張り付いていよう」と自分の本も持って行ったのだが、ちらっと目に入った『神去なあなあ日常』。

手にとって読み始めると、当然面白い。

学年主任が心配していたようなこともなく、放課後、図書室に来ていた中学1年生は静かに本を読んでいる。
特に注意をすることなく50分ほど図書室で時を過ごした。

1章ほど読んでしまったので、途中でやめるのも何となく残念な気がしたので、借りて戻ることにした。
休日も入るし、持ち歩いて電車の中で読むのも1日程度だろうと考えると、少々重い単行本を持ち歩くのもそれほど苦にならない。
ということで、学校から借りて帰ってからは、この『神去なあなあ日常』にはまる。

主人公は平野勇気(ひらのゆうき)。
少々名前負けしているかという感じの高校3年生だ。
卒業する間際になって、担任の熊やんこと、熊谷先生と母親の陰謀にあって林業研修生に応募され、三重県神去村というところに1年間住み込みで研修に追いやられてしまう。

このものがたりは、神去村での1年間をワープロを使って極秘裏に記録した平野勇気の記録である。

前回読んだ三浦しをん作品(『まほろ駅前多田便利軒』)と違って、何という村がモデルの作品なのかはわたしにはわからない(巻末には、資料があるけれども・・・・)。

山の持ち主、『おやかたさん』こと、『中村清一』、その妻と子の『祐子』、『山太(さんた)』、犬の『ノコ』、凄腕の木こり『ヨキ(飯田与喜)』、ヨキの妻『みきさん』、祐子の妹『直紀』、林業チームの『巌さん(田辺巌)』や『三郎じいさん(小山三郎)』、ヨキのばあさんの『繁ばあさん』、これらの人々が主な登場人物。

話の筋は読む前から何となく想像できる。

ひょんなことから林業の村に送り込まれた青年が、林業の面白さ、大切さに目覚め、神去村で生きていこう、林業を自分の一生の仕事にしていこうと決心するまでを描いている作品。

途中、山太の神隠し事件があったり、山火事騒ぎがあったり、『勇気』が『直紀さん』に淡い恋ごころを抱く場面があったり、48年振りの例大祭に『勇気』が参加したり、徐々に村に溶け込んでいくまでが素敵だった。
また、この村の方言である、『なあなあ』ということばが村人たちのこころの温かさ感じさせている。

『山太』や『勇気』があった神様(赤い服と白い服を着た女神様)の存在が、ものがたりを更に奥深いものにしている。
この村なら何の不思議もないだろうと思ってしまう自分がいた。



#情報科教員MTの読書記録・・・・2011-04-28から2011-04-30
                      3日で1回読み終えた。



2011年04月29日

『八日目の蝉』を鑑賞

休日の今日、近所のユナイテッドシネマまで『八日目の蝉』を観に行った。

http://www.youkame.com/index.html

朝一番の9:30からの回。

指定席制のシネコンだからチケットさえ買えてしまえば座席に関しては問題ないが、初日とはいえ、都会の映画館と違って『入り』はそんなに多くなかった感じがする。
連休中の一日なので、劇場公開日、つまり、初日に観に行けたことは、なんだか嬉しい。

『八日目の蝉』に関しては、かなりが思い入れあって、NHKのドラマを観たり、原作本の文庫化を待ちに待ったり、それを購入して読んだりしてきた。

その楽しみにしてきた『八日目の蝉』。

野々宮希和子役の永作博美さんは童顔の女優さんなので、どのような母親役になるのかと思っていた。
劇場でパンフレットを見て年齢を考えてみると特に違和感のある年齢ではないのだけれども、イメージからするとキャスティングに疑問も感じていた。
しかし、作品を観てみて、そんな疑問も全て消滅した。
今までの役のイメージとは違って、母親そのもので薫を見つめるまなざしは温かさに満ちあふれていた。

秋山恵理菜役の井上真央さん、いつも体当たりの演技が印象的だ。
映画の方は恵理菜が主役で、過去を探るために小豆島を訪れた部分が、過去のシーンと交互に表現されていた。

小池栄子さんが演じる安藤千種が、自分は特殊な環境で生活してきて、男の人には恐怖感があるということと、従って男性と付き合った経験はないけれど、一緒に子供を育てるということはできると思うという感じのことをいうシーンがあった。
秋山恵理菜が安藤千種を疑ったことに対する回答として、千種がいった言葉。
迫真の演技だった。

ラストの滝写真館に恵理菜と安藤千種が訪れたとき、写真の袋の中身、つまり写真は野々宮希和子が持っていていったことを伝えられ、ネガから再び写真を現像するシーンがあった。
そして、まだ子どもだった薫と野々宮希和子の記念写真か浮かび上がってきて、恵理菜が野々宮希和子を再確認するシーンが印象的だった。



2011年04月28日

『風花』を読了!!

川上弘美さんの『風花』を読み終えた。

『風花』 川上弘美・著 『風花』 川上弘美・著

夫に自分以外の女性ができてしまって、今後をどうすればよいかと葛藤する主人公の『のゆり』。
『のゆり』のよき相談相手である叔父の『真人(まこと)』。
叔父とはいえ、母と13歳違いの末弟なので『のゆり』にとっては、少し年上の兄という感じの叔父である。
叔父の真人と行った温泉宿の浴場(当然、温泉)でみた、『死んだらおしまい』という文字。
浴場のコンクリートの壁に彫ってあった文字だ。
その場に彫ってあるのは不思議な感じのするオブジェとでもいえばよいものなのか、単なるいたずらで彫ったものなのか。
『のゆり』は

  「死んだらおしまいか、でもわたしは死ぬつもりはぜんぜんないからね」

と受け流したが、こころに何となく引っかかった風景だ。

ものがたりのなかで、ふたりの女性が『のゆり』の前に登場する。
ひとりは、当人のひとりよがり、勘違いという感じの女性なのだが、もうひとりはそうもいっていられない女性だ。
いずれにしても、『のゆり』にとっては問題となる人達だ。
勿論、これらの人物の登場で、『のゆり』のこころは大きく揺れる。
それらの展開か随所に現れ、作品の中では、取得した医療事務の資格を活かして『自ら生きていくことを決意』し、夫である『日下卓哉』にそれを宣言したところで終わる。

リアルな世界ではどろどろとして、事件にでも発展しそうな展開だが、川上弘美の世界では、何だかさらさらとしていてなめらか感じで描かれているので、全くそんな感じがしない。

エンディングは明確に書かれていないので、本当にこのまま別れてしまうのか、それとも以前のような状態にもどるのかは読者次第ということになる。
わたしは何となくよい方向に流れていく『のゆり』と『卓哉』に希望を抱いて、この本を閉じた。

最後に書くのも何なのだが、『のゆり』とは実に響きのよい名前だと思った。



#情報科教員MTの読書記録・・・・2011-04-24から2011-04-28
                       5日で1回読み終えた。



2011年04月26日

『裏がえしの自伝』と『少年記』を購入!!

オフの日の今日(4月26日)、近所のイオンモールむさし野ミューに出かけた。
休みの日の買いだし。
ここに行けば、いつもオリオン書房に寄ることになっている。
そこで見つけた次の2冊。

梅棹忠夫氏の『裏がえしの自伝』と外山茂比古氏の『少年記』を購入した。

『裏がえしの自伝』 梅棹忠夫・著 『裏がえしの自伝』 梅棹忠夫・著


『少年記』 外山滋比古・著 『少年記』 外山滋比古・著

今月は何だか、素敵な本がたくさん発売されている。

#実際に記述し、投稿したのは4月28日を少し回った29日未
 明だったが、記事としての最終的な投稿日が1日ずれてしまっ
 たので訂正。

 この記事は4月26日の記事として記述したもの。



2011年04月25日

『図書館戦争』・『図書館内乱』を購入!!

角川文庫から『図書館戦争』と『図書館内乱』が発売された。

『図書館戦争』 有川浩・著 『図書館戦争』 有川浩・著

『図書館内乱』 有川浩・著 『図書館内乱』 有川浩・著

『レインツリーの国』が新潮文庫から既に刊行されているので、個人的には『図書館内乱』などは新潮文庫としてでて欲しいと思っていた。
しかし、精力的に有川浩作品を文庫収録しているの角川文庫。
本日、4月25日に『図書館戦争』と『図書館内乱』が角川文庫から発売された。
単行本の発行(2006年)から既に5年ほど経っている。
通常、単行本が発行されてから3年で文庫化されることが多いので、わたしを含めてきっと有川浩ファンは待ちに待った文庫化ということがいえよう。

そういう意味からいっても、今回の角川書店から文庫化も大歓迎である。

仕事の帰り際に近所のリブロに寄って、早速購入した。

いま、川上弘美さんの『風花』を読んでいるので、このあとは『図書館戦争』、『図書館内乱』に決定である。


2011年04月24日

『マスプロ JLM3-P』を購入!!

Trywinの『ICR-AF01A』を購入!!(2011-03-30)』で、AM/FMラジオ付きボイスレコーダーを購入したのだが、アンテナはイヤホンケーブルだった。

従って、イヤホンケーブルの向きや、ピンと一直線に伸ばした具合によってFMラジオの受信感度を左右される。
目的の番組を録音して既に3回ほど経った。
音楽を録音しているわけではないので、その音質にはそれほどこだわらないのだが、サーッという小さな雑音が気になる場合がある。
要するにこのアンテナケーブル(イヤホンケーブル)で電波を上手く受信し、そこそこの音質で録音するためにはある程度のテクニック(『慣れ』ともいう)が必要になる。

イヤホンジャックに差し込んで、直接、アンテナコンセントに接続できるケーブルがないかと、近所の電気屋に行き見つけてきたのがこれである。

マスプロ JLM3-Pマスプロ JLM3-P

勿論、音質はグッと向上した。
よい買い物をしたと思う。


2011年04月23日

『太陽と毒ぐも』を読了!!

角田光代氏の『太陽と毒ぐも』を読み終えた。

『太陽と毒ぐも』 角田光代・著 『太陽と毒ぐも』 角田光代・著

まさにラブラブ真っ最中の男女11組のものがたり。
つまり、ラブストーリーなのだが、ちょっとしたすれ違い、諍い、ひょんなことから発覚した性格の不一致など。
今、この瞬間に主人公たちが考える今後。

「これから、私たちはどう生きていけばよいのか」という切羽詰まった状態が語られている11の短編集だ。

タイトルの『太陽と毒ぐも』は、まさに太陽が燦々と照り輝いている『春』真っ盛りのカップルたちに、意地悪く影を落とし、カップルたちに雲(つまり、『毒ぐも』)が被い掛けたような状態ということらしい。

当初、『毒ぐも』は『毒蜘蛛』だと思っていたが、中を読んだ後に裏表紙(ブックカバー裏)の内容紹介を読んでみるとそのようなことがわかる。

『ドラママチ』でマチとは『街』であり『待ち』とも引っかけたタイトルだったことを思い出す。

ブックカバーの装幀を再度眺めてみると『太陽』と『雲(毒くも)』のせめぎ合いとも見える。
随分、可愛らしいせめぎ合いだけれども・・・・。

何日も風呂に入らなくても平気でデートに行ってしまう女性や、尋常ではなく『ものを買い込んでしまう性癖』の男性、盗癖(万引き癖)が抜けない女性、これまた尋常ではない(プロ野球の)巨人狂いの男性、自分たちの生活の様子を事細かに何でも周りの人に言ってしまう女性、迷信から抜けきれずそれを相手に強要する女性、妙に吝嗇の男性など、カップルの相手だったら考えてしまうような状態の人達。

お互いには好きなのだけれどどうしてもこの点は許せないという微妙なカップルたちが満載だった。
実際にもありそうなおはなしで、「ありがちなはなしだなぁ」などとこころの中でつぶやきながら、面白おかしく時を過ごすことができた。

#情報科教員MTの読書記録・・・・2011-04-17から2011-04-23
                     7日で1回読み終えた。
                     途中、3日ほど移動教室の引
                     率をしていたので、実質、4日
                     くらいかと思う。




2011年04月22日

『風花』を購入!!

中学1年生対象の移動教室の引率を終えて昨日帰宅した。
日程の関係で翌日の今日から出勤であった。
少し早めに帰ろうとは考えていたが、気がついたら午後7時。

それでも、そこそこ早めの帰宅。

自宅近くの本屋に立ち寄る。

大好きな川上弘美さんの、『風花』が文庫版として発売されていることを発見した。

『風花』 川上弘美・著 『風花』 川上弘美・著

ここのところ、読みたい本が文庫化されて出版されることが目白押しである。

新聞の広告欄で、そろそろ出版されることは知っていたが、もう少し間があると思っていた。

それを近所の書店で発見して、「にんまり」。

次に読む本は、この『風花』で決定。

−−−−−

ちなみに奥付をみてみると『平成23年4月25日』と書かれていた。
少々フライング販売のようである。

結構、よくあることだけれども。

2011年04月17日

『恋文の技術(文庫版)』を購入!!

待ちに待った、森見登美彦氏の『恋文の技術』が文庫版として発売されることになった。

『恋文の技術』 森見登美彦・著 『恋文の技術(文庫版)』 森見登美彦・著"

この本に関しては、結構いろいろとこころに残ることがある。

『太陽の塔』を読了!!で森見登美彦氏の作品に出会い、わたしが読み終えたとほぼ同時期に既に発売されていた『恋文の技術』に興味を持った。

『錦繍』を読了!!は、まだ文庫版では『恋文の技術』がでていなかったので代わりに読んだ書簡体の文学だ。
森見登美彦氏のエンターテイメント色満載の文と異なり、宮本輝氏の作品は、きっちりしとした、そして読んでいて何だかその文章の美しさにほれぼれしてしまう印象だった。
勿論、森見登美彦氏とは年齢も随分異なるし、その作風、想定している読者対象も異なるので、『恋文の技術』の代わりに『錦繍』を読んだというのは適切な表現ではないだろう。
しかし、わたしに宮本輝氏の作品との関わりを付けてくれたのは、紛れもなく森見登美彦氏の『恋文の技術』である。
そして、宮本輝氏の作品に関しては、このあとどんどん読んでいくことになった。

さて、その『恋文の技術』であるが、わたしは『小説の類は文庫版が出てから文庫版で読む』という妙なポリシーを持っているので、3年待つつもりでいた。
しかし、何だか待ちきれずにポリシーを緩めることに。

『恋文の技術』を読了!!では、結局、勤務校の図書館で単行本を借りて読むことになってしまう。

『恋文の技術』 森見登美彦・著 『恋文の技術』 森見登美彦・著

何の根拠もなく『何となく格調高い作品をイメージ』していたのだが、読んでみて、とにかくはちゃめちゃな、何とも楽しいエンターテイメント系の作品だった。
そして、「そういえば、『太陽の塔』も、どちらかというとこんな感じの作品だった」と森見登美彦氏の作風を認識した。

ということで、長々書いてしまったが、この4月5日に文庫版が発売されたので、購入してきたという記録を残しておくことにした。
単行本で一度読んでいるが、機会あったら購入した文庫版を読んでみようと思う。

#実際に記事を書いて投稿したのは2011-04-24である。
 ライブドアブログがfacebookと正式に連携できるようになったと
 のことで設定変更してみた。
 設定変更後、初めての投稿なのだが、どんな感じだろう・・・・。


2011年04月16日

『夜をゆく飛行機』を読了!!

角田光代氏の『夜をゆく飛行機』を読み終えた。

『夜をゆく飛行機』 角田光代・著 『夜をゆく飛行機』 角田光代・著

主人公、谷島里々子(やじまりりこ)とその3人の姉(有子(ありこ)、寿子(ことこ)、素子(もとこ))を中心としたものがたり。

里々子の父が営む『谷島酒店』が舞台の一つ。

里々子は高校3年生の末っ子だが、本当はその下に男の子が生まれるはずだった。
ちょっとした事故で母が階段から落ちて、生まれてくることができなかった弟を、『ぴょん吉』と名付けてベランダで2人だけのときを過ごすことが多い。
独り言なのか、本当に見えるのか時に応じてぴょん吉と語り合う里々子。

寿子は才能がないが、家族のメンバーの日常をほぼ実名のような形でものがたりを作ってしまいそれを発表する。
それが文学賞に選ばれてしまい、谷島家の面々のプライバシーが公開されてしまう。
有子の昔の出来事(駆け落ち騒ぎ)などもあからさまなものになり、有子は離婚、1人で生活をすることになる。

祖母の死、それに伴う父と叔父との絶交。

好きな人や嫌いな人、関わった人との中間的な場所。
中間みたいな場所にずっといると嫌になって、戻ってくると何だかそこが懐かしくなる場所。
かつてはぴょん吉と語らっていた里々子だが、今はそれができなくなっている。

松本君(松本健)が登場したり、篠崎怜二が登場したり、いろいろあるけれども、上に書いたところあたりが何だかこころに残っている。



#情報科教員MTの読書記録・・・・2011-04-10から2011-04-16
                     6日で1回読み終えた。


2011年04月09日

『まほろ駅前多田便利軒』を読了!!

『まほろ駅前多田便利軒』を読み終えた。

『まほろ駅前多田便利軒』 三浦しをん・著 『まほろ駅前多田便利軒』 三浦しをん・著

この作品の舞台である『まほろ駅』とは小田急線の町田駅だったことに驚いた。
その昔は新原町田といっていたなどと思いつつ、読み続ける。
国鉄(・JR(?))の原町田駅が移設され小田急線の新原町田駅の方に近づき、両方の駅が町田駅になったところくらいまでは自分の目で見てきた。

わたしは15歳になる直前まで町田に住んでいた。
その後、近隣の神奈川県に引っ越しをしたが、まだまだ身近な町田市であった。

その昔、大丸デパートがあったり、小田急OXストアがあったり、駅の裏手の方には千寿閣という結婚式場があったり、その近所にはちょっと妖しい場所があったり。

ある程度読み進んでいくと「まほろ駅って、町田駅だったのだなぁ」と気づく。
地元を知っている人間からすると、この小説を読んでいると随所にそれが分かる。

主人公の多田啓介。
まほろ駅前で便利屋をしている。
ネーミングも抜群。
ただただ便利な便利屋というイメージでぴったりだ。

行天春彦。
多田のかつての級友。
親友ではない。
ふたりとも、都立まほろ高校の出身者である。
モデルは都立町田高校で、その意味でも東京近辺の情報科教員としては何だがワクワクする。

得体の知れない凄みもちらほらと垣間見える行天だが、多田は追い出すこともなくはなしが進んでいく。

多田のところに転がり込んだ行天と多田のコンビでいろいろな依頼に応えていくふたり。
いろいろなキャラクタの人物が登場し、いろいろな事件とも遭遇し、読者としてのわたしにとってはあっという間にときが流れていった。
続編の『まほろ駅前番外地』の単行本も売られているが、文庫化されることを楽しみにしている。

『まほろ駅前番外地』 三浦しをん・著 『まほろ駅前番外地』 三浦しをん・著

#情報科教員MTの読書記録・・・・2011-04-06から2011-04-09
                     4日で1回読み終えた。


2011年04月05日

『アフターダーク』を読了!!

村上春樹氏の『アフターダーク』を読み終えた。

『アフターダーク』 村上春樹・著 『アフターダーク』 村上春樹・著

これは本当に面白かった。
しかし、最後は何だかよく分からなかったというのが率直な感想だ。

午後11時56分から、夜が明けた午前6時52分の間の7時間程度という短い期間を追ったおはなしだ。

浅井エリとマリ。

姉妹だけれども、いまひとつすっきりしない姉妹。

エリの日常というか、寝ている様子をカメラが追っていくような感じで表現されていく。
エリの寝室内にあるテレビのスイッチが入って、いつの間にかそのテレビの中にエリが映っていたり、どのようなわけでテレビの中の場所に移動しているのかなど分からないことが多い。

一方、妹のマリは自分の家にはいたくなかったのか、深夜のデニーズに始まって、高橋との出会い、その高橋との出会いを通してのホテルのオーナーとの繋がり。

そのホテルで起こった中国女性傷害事件でオーナーから通訳を頼まれたりという一連の動き。
その中国人女性に暴力をふるった男、白川の存在。
白川の動き。

緊迫した推理小説のような流れもあるが、結局結論はどうなるのかがよく分からない。

謎だらけという感じで何だかよく分からなかったが、7時間という時間の流れを追っているだけで、何とも楽しいひとときを過ごせた。
よく分からないながらも、不思議な感覚を味わうことはできた作品だ。


#情報科教員MTの読書記録・・・・2011-04-03から2011-04-05
                      3日で1回読み終えた。



2011年04月02日

『甘い記憶』を読了!!

『甘い記憶』を読み終えた。

『甘い記憶』 川上弘美 他・著 『甘い記憶』 川上弘美 他・著

川上弘美さんの『金と銀』という作品が収録されている文庫である。

この本は川上弘美さんの作品だけではなく

ボサノバ 井上荒野・著
おそ夏のゆうぐれ 江國佳織・著
金と銀 川上弘美・著
湖の聖人 小手鞠るい・著
二度目の満月 野中柊・著
寄生妹 吉川トリコ・著

というアンソロジーだ。

当初の目的の『金と銀』は、はとこ同士の治樹(ハル)と遊佐瑛子のものがたり。
出会いは遊佐瑛子が5歳のとき。
親類の葬式のときである。
11歳違いのふたり。
このとき以来、何となく気になる存在のふたり。
その後、ハルは画家になっている。
浮き沈みの大きい仕事である。
何度が旅にも連れて行って貰った瑛子。
ハルの仕事の状態によってその旅の内容もいろいろ。

仕事上のスランプからかハルは失踪し、ヨーロッパを放浪することになる。
ハルの失踪を通して瑛子は自分の気持ちに気づくというおはなし。

ハルと瑛子の今後が楽しみな状態で終わっている。

川上弘美さんのいつものなめらかな感じが漂っている作品だった。

−−−−−

他の作家5人の作品から一つ選んでみると、小手鞠るいさんの『湖の聖人』がわたしには一番と感じられた。

何といっても書き出しの

風の強い日に、空を飛び、海を越え、手紙はわたしのもとに届いた。

という1行に参ってしまう。

「どんな手紙だ」とか、「このわたしはどんな人なのだろうか」とか、「差出人は誰なのだろうか」とか、「主人公とどんな関係なのだろうか」などといろいろな疑問が広がってくる。

宮下琴子に宛てられた手紙の差出人は西嶋結城。
母が結城紬の職人だったので、息子につけた名前。

実は、琴子の旅行に同行する人を募集して、それに応募して来た青年が結城だ。

世界各地を2人で訪れながら4年付き合ったけれども、大学を卒業するタイミングでこれからの生活に対する考え方の微妙な違いから、分かれることになる。

タイトルの『湖の聖人』とはグアテマラのアティトラン湖に存在すると考えられている聖人のこと。
旅で知り合ったワイルド・ビルから聞いたはなしで、甘いチョコレートと共に聖人にお願いすれば、ふたりは永遠に結ばれるというものだった。
勿論、ふたりはその後、ここも訪れたのだろう。


その後、12年後の今日届いた結城からの手紙。

この手紙から始まるであろうこれからの生活。

もう、重たいバッグは背負わない。代わりにわたしは背中に生きている翼を広げて、飛んでゆく。風に乗って、海を越えて、あなたの胸のなかに。

エンディングの数行がまた、素晴らしかった。

#情報科教員MTの読書記録・・・・2011-04-01から2011-04-02
                      2日で1回読み終えた。



2011年04月01日

2011年03月に読んだ本たち

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杉並区にある文化女子大学附属杉並中学校・高等学校で情報科教員をしていた津久井 大(まさる)と申します。
2019年3月に定年後、1年間雇用延長で働き、2020年4月から完全にリタイアしました。

従って正確には『元・情報科教員MTのBlog』ということになりますが、タイトルはこのままにしてあります。

元々は理科教員で、暫く理科と情報科の兼任をしていましたが、教育制度に則った情報科ができた2003年に情報科のみを教えることになりました。
my_twitter
@mtsinfodl